本日は恐らく当店の今年最後のワインメーカーズディナー。ご来店してくださることとなったニック・ミルズ氏は世界で最も美しいワイナリーの一つと名高いリッポンというワイナリーの醸造家です。リッポンは、ニュージーランド南島の南部の一大ワイン生産地、セントラル・オタゴ地区の最北・ワナカ湖畔にあります。

(上)前回現地訪問時はワナカ湖を満喫するために数時間ほど湖畔を歩き回ってリッポンへ。冬の朝日が湖面に反射してとても綺麗でした。(
→その時の様子がこちらにも少し掲載されています。)
私どもがお店を開店するずっと前、ニュージーランド人の親友のお母さんにつれられて、ワナカのこのワイナリーを訪れ、とても小さな、入口にカウベルが付いたかわいらしいテイスティングルーム小屋(現在もあるか不明・・・。)の中でカジュアルに思い思いに試飲している人々を見たことがあります。決して安価なワインではないにも関わらず、なんだかリラックスした雰囲気が印象深く、現在のNZBARをつくるきっかけとなっています。また、このNZ BARに初めて来店してくださった醸造家も、ピラミッドヴァレーのマイク・ウィールジング氏とこのニック・ミルズ氏(2007年)。今回氏を改めて迎えることができ、誠に嬉しく思っております。

(上)初めて来たときは、まっさらな壁に一番にサインとワナカの風景の絵を描いたニック。ビックネームの訪問に当時どうしていいのか判らないくらい緊張して何もできなかったのを覚えている。この日、壁のサインを一つずつ見たニックは、「増えたねえ・・・」と。そして「僕は前よりも上手にワナカの絵が書けるようになったから今日少し書き足していくからね。」と。
さて、このセントラル・オタゴ地区の中でも最も小さなワイン地区であるワナカの地で最も有名で、パイオニア的な生産者がこのリッポンです。美しい青い湖の湖畔に立ち並ぶブドウの木、そしてその背後にそびえるのは頭に雪を頂いたサザン・アルプスの高い山々。その美しさは際立っておりこれまで多くの世界のワイン専門誌の表紙を飾ってきました。
海抜330mほどのこのエリア。気候的にはオタゴの他地区のクロムウェルよりも冷涼で、でもギブストンよりも少しだけあたたかという気候で、雨量は少ないのですが、霜害対策が必要とされ、ブドウを植える畑の場所をどこにとるかも大変重要になってきます。リッポンのロケーションは湖面からの放射熱の恩恵もある北向き(南半球なので北向きの方が日当たりが良い)の斜面に位置し、ブドウの健やかな成長を促しています。
土壌は氷河によって流されてきた堆積物によってできるモレーンとよばれる土壌が特に特徴的で、浸食によってもたらされたシストとよばれる葉のような板状の鉱物が積み重なった土壌が深い層をなしており、水はけが良く、そのシストのすきまを縫って深く深く根が張るのでブドウ栽培に適していると言われています。

(上)ニュージーランドのワインリージョンの地図を指さしながらリッポンの地理や気候について説明するニック。この日、巨大なシストをニックがカバンから取り出してお客様に見せたので、びっくりしていたら、何とビニール製のシストの模型(ぐにゃぐにゃになる)。
1970年代半ばにニック・ミルズ氏のご両親はリッポン・ヴィンヤードを設立し、ヨーロッパでワインについて学びながら、この場所の温度や雨量をモニタリングしはじめました。そして、少しずつたくさんの品種を植え、どのブドウ品種がこの地に適しているかを観察したそうです。現在はオタゴのピノ・ノワールは国際的にも有名となりましたが、最初にこの地のピノ・ノワールにワイン・コンテストのゴールド・メダルをもたらしたのはリッポンのワインということです。その間の試行錯誤の様子を写真などで聞きかじったことがあるのですが、現在の姿からは想像できないような土地を開墾し、ここまできたようです。現在クォーツリーフの醸造家であるルディ・バウアー氏も若いころ、リッポンでワインを造っています。そしてみなのパイオニア精神をひきついだのが今日ご来店のニック・ミルズ氏。
ニック・ミルズ氏は1998年から、ドメーヌ・ロマネ・コンティをはじめとするブルゴーニュの名だたるワイナリーでワイン造りの経験をつみ、2002年にニュージーランドに帰国し、両親のワイナリーでワイン造りに携わってきました。また、先祖代々引き継いできたこのワナカ湖畔の美しい景観を守るのは自らの使命であると考え、現在は、農薬や化学肥料の代わりにすべてプレパラシオンと呼ばれる手作りの環境に優しい調合剤を使用し、月の満ち欠けや自然のサイクルと呼応させながら健やかなブドウを栽培する『ビオディナミ』と呼ばれる農法を採用しています。

(上)"Welcome to New Zealand!"という挨拶ではじまったニックのスピーチ。多くの皆様が熱心に聞いて下さいました。

(上)いつかワイナリーで、「謙虚でありたい・・・」と何度も話していたニック。マジックを渡して、大きく書かないの?と聞くと、良いんだ・・・僕は、と。2007年に書いて下さったサイン脇に、新たに書いたメッセージはとても小さい字。
WINES FOR TODAY
White wines
ドイツの銘醸地にあるようなシスト土壌であり冷涼な気候はリースリングにも向いているようで早くから評価されていました。今回はかわいらしい魅力の若木のものと、成熟したブドウらしい複雑なもの、そして成熟したブドウの方は気候が異なった近年の2ヴィンテージをご用意いたしました。また、ゲヴェルツトラミネールはすでに長いこと栽培していたものの、ここ数年でようやく成熟したブドウ独特の風味が現れるようになり満足するものとなったそうです。
1. 2010 Jeunesse Young vines Riesling
2. 2010 Riesling
3. 2009 Riesling
4. 2010 Gewurztraminer
Red wines
2008年以前は通常ピノ・ノワールは2種類(通常のフラッグシップワインと若木のブドウをつかったワイン)でしたが、2008年ヴィンテージから、根の細かい先々がこのリッポンのシストの薄い岩盤状の土壌の間に深く入り込んだ成熟したブドウの木がある区画だけの果実をつかったピノ・ノワールが2種、Tinker’s FieldとEmma’s Blockというお父上やリッポンの名前の由来となるご先祖様のエマ・リッポンさんの名前を付けて造られ始めました。どちらも80ケース程の生産量しかなく高価なワインですが今後も大変注目です。
5. 2008 Jeunesse Young vines Pinot Noir
6. 2008 Pinot Noir
7. 2009 “Emma’s Block” Pinot Noir
8. 2009 “Tinker’s Field” Pinot Noir
9. 2004 Pinot Noir (1500ml Magnum)

(上)音楽をこよなく愛するニックはワナカ湖畔でミュージックフェスティバルを開催している。かつてニックと、彼の奥様と、リッポンでちょこっと造っているビールを飲みながら、NZBARに合うニュージーランドミュージシャンの音楽リストをあ〜ではない、こ〜ではないと考えてもらったことがある。その時のリストは今でも宝物。
今日もたくさんの方のご参加をありがとうございました。スピーチまでの時間も押してしまいましたし、全てのお客様がじっくりお話できなかったかもしれません。スタッフがばたばたした中でも気持ちよく言葉をかけてくださったお客様方、本当にいつもサポートいただき誠にありがとうございます。毎度当店としては反省が多いですが、なんとか改善していきたいと思っておりますので、どうぞ今後ともどうぞご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます。